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REGIONAL PROJECT

地域プロジェクト

使い方が広がる、地域と木をつなぐ収納箱「もくわく®︎」プロジェクト

「もくわく®︎」プロジェクトとは

本プロジェクトは、京都市で暮らしの道具をセレクト販売する「すまいの雑貨店sumao」様との収納家具の開発プロジェクトです。
「引っ越すたびに家具を買い替える暮らしをやめたい。長く使えて、シンプルで、使うほど愛着が育つ収納箱を、日本の木でつくれないか」というオーナー・浜谷様の想いを受け、約1年半かけて共同開発を行いました。この取り組みは“もくわく®︎”として形となり、現在はもくわくの想いに共感する仲間が全国へと広がり、国産材を活かすプロジェクトへと発展しています。

もくわくWEBサイト:https://mokuwaku.jp/

プロジェクトの背景

浜谷様は、長年家具として愛用してきた“みかん箱”をヒントに、日本の木でつくる収納箱を構想されました。しかし協力者が見つからず、当初は思うように進められない日々が続いていたといいます。
そんな折、知人からの口コミでツバキラボを知り、ご相談をいただきました。初回の打ち合わせでは、浜谷さまの熱い想いに共感する一方、シンプルな収納家具はすでに市場にいくつか出回っており、一度見送らせていただきました。しかし、地域の材料をつかっていくというツバキラボの理念を元に改めて何をしていくべきか検討した結果、初回の打ち合わせから半年後、このプロジェクトやっていこうという判断をし、正式に進めることとなりました。

素材選定 ― “暮らしに合う素材”と“林業への視点”の両立

まず取り組んだのが「どんな素材でつくるか」という検討でした。浜谷様は、最初から杉で作りたいという思いがありました。

収納箱は日常的に手にする道具であり、椅子やテーブル、カウンターなど用途を変えながら柔軟に使えるようにしたいという要望もありました。そのため、“軽くて扱いやすいこと”は大切な条件でした。加えて、日本の林業の現状に対する問題意識から「針葉樹の有効活用」「国産材をもっと活用すべき」という想いを浜谷様はお持ちでした。

木工の立場からすると、杉はキズが付きやすくとても扱いづらいため、あまり使われません。家具や日用品の制作では、広葉樹が使われるのが常識でした。

広葉樹は丈夫な反面重く、日常使いには負担があります。一方、杉はとても軽量で扱いやすく、傷がつきやすいという特性も“丁寧に使う”という魅力につながります。こうした点から、杉を使った家具というチャレンジする気持ちも込め、杉材で進めることになりました。材料の供給は、地元の木材をボード状に加工できる白鳥林工協業組合様に相談したところ、意図を理解して快く協力を引き受けてくださいました。

試作を通じて“本当に使いやすい形”へ

開発段階では、板の厚みや箱の寸法について希望をヒアリングし、試作を開始しました。「軽いけれど華奢にならない厚さはどれくらいか」「積み重ねやすい寸法はどれか」「テーブルやカウンターとして使うとしたらどの高さがよいか」など実際の使用シーンを想定した検証を浜谷様が行い、ミリ単位での調整を繰り返しました。浜谷様から再検討案をいただくたびに、試作品を作り直しながら、納得のいく形へと近づけていきました。

さらに浜谷様のアイデアをもとに「ジョイントパーツ」というもくわく独自のパーツを開発。当初案は扱いにくい大きさだったため、こちらで最適な寸法を再設計し、納得いく形に仕上げました。

完成品は岐阜県生活技術研究所にて耐荷重試験を実施し、椅子としても使える強度を実証しました。「見た目が良い」だけでなく、日常の中で長く安全に使える品質であることを確実にしたうえで製作しています。

成果と広がり

こうして誕生した「もくわく®︎」シリーズは、現在10産地・12種類まで展開しています(25年12月現在)。奈良、兵庫、福岡、京都、神奈川など各地の木工所が次々と参加し、その土地の木を使った“ローカルもくわく®︎”が生まれています。
大手生活雑貨ブランドで大型PRイベントを実施するなど、新しい広がりも生まれています。

“日本の木を使う文化を広げたい” という浜谷様の想いが徐々に全国へと伝わり、林業と暮らしをつなぐ新しい流れをつくり出しています。ツバキラボとしても、一産地の工房としてこのプロジェクトに関わりながら、これからの展開に大きな期待と手応えを感じています。

プロジェクト概要

[Client]
企画/すまいの雑貨店sumao

[stakeholder]
製作ディレクション/ツバキラボ
材料供給/白鳥林工協業組合

○当プロジェクト参画企業(プロジェクト開始後):
吉野中央木材株式会社(奈良県・吉野杉)
SHARE WOODS.(兵庫県・六甲ひのき)
株式会社八女流(福岡県・八女杉)
ホリモク株式会社(京都府・京都杉と京都ひのき)
木工アトリエ 森侖舎(神奈川県・津久井杉)
合同会社西川Rafters(埼玉県・西川ひのき)
有限会社田中製材所(大阪府・大阪ひのき)
鈴貴木工(静岡県・天竜杉)
株式会社流域デザイン(滋賀県・針畑杉)

[実施期間]
2020年~プロジェクト開始
2021年~リリース

[受賞歴]
2023ソーシャルプロダクツ賞受賞
2025ウッドデザイン賞受賞

もくわくWEBサイト:https://mokuwaku.jp/

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