地上100mの展望デッキで自然を感じ安らげるベンチ
- Client
- 中部電力 MIRAI TOWER、m28e
- Overview
- 中部電力MIRAI TOWERの地上100mにある展望フロア。そこからさらに階段を上がって到着するのが屋外展望台 スカイバルコニーに、植栽と融合した木製のベンチ 「シカク」 1台、「サンカク」 1台を制作しました。
- Works
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- 企画立案
- 調 査
- 製 材
- 木材乾燥
- デザイン・設計
- 3Dモデリング
- 試 作
- 製作ディレクション
- 加工・製造
- 施工・設置
- Detail
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[製作年月]
2023年7月
[サイズ・数量]
シカク: 幅2m x 奥行 1.5m x 高さ2.3m
サンカク: 幅2.7m x 奥行1.5m x 高さ2.3m
[使用地域材]
ベンチ躯体:岐阜県産材栗
その他: 岐阜県産材広葉樹8種
[塗装]
ガラス塗料 無機ウッド屋外用 、撥水セラミックマルチ
About This Consulting
依頼事項・経緯
庭師集団m28eがスカイバルコニーでの庭づくりを担当しており、その空間の中に自然を感じながらも特別な空間を味わえるベンチをつくれないか、という相談から始まりました。
towerをtreeと見立て、木が水分や養分を根から葉へ、葉から根へ循環させていることから、そのような人の往来、人の思い・感情を上に下に循環させることができるような空間を目指します。タワーの上なのに木の匂いが感じられ、まるで森の中にいる山や川を感じることができるデザインであり、本物を感じれる世界観をそこにつくりたいというお話でした。
課題
植栽と融合させるということで、ベンチそのものは木製のプランターの役割であり、そこに芝生や木々を植える構想でした。地上100mの屋外ということで木製のものには過酷な環境であることは間違いありません。さらに細い階段で運び上げる必要があるため一つ一つのパーツが運び上げられるサイズであり、また組み立てられる設計でないといけません。
使用する樹種の選定、湿気・乾燥による影響や搬入・組立時の取りまわしを考慮した設計が求められました。
デザイン・設計
雨風にさらされ、また雨が降った場合、床に水がたまることもあるということで、躯体の樹種は腐食に強い栗(くり)を選定しました。また、栗は重量が軽いため、運び上げる作業においても利点があります。
柱は有機的なデザインであり、また木の枝に囲まれような空間をつくるのがm28eの希望でした。屋外ではありますが、屋根を設けず、ただ植物が覆いかぶさるだけの自然な空間です。
そのため、上記の設計課題を踏まえつつ、柱等は木の樹皮の形状を残し、有機的な視覚要素があるデザインにしました。そして、シンボリックな存在になるようにという要望を踏まえ、シカク・サンカクどちらも柱から中央へ枝が伸び、周りに植えられた木々の葉と相まって自然の天蓋に包まれる空間になるように設計しました。
制作
複雑な角度や自然の形状が絡むため、仕口加工は難易度が高いものでした。3D図面と実際の加工方法を確認しながら制作を進めていきました。
プランターの内部は水分が直接木部に触れないように、シートを貼り付け、底部には水はけをよくなるようm28eが処置をしてくださっています。
*7月上旬の納品後、風によるプランター外部の乾燥と土による内側の湿気により、仕口が割れる現象が発生し、応急処置を施しました。過酷な環境ではありますが、永くスカイバルコニーのシンボリックな場所として使っていただけるようメンテナンスも実施していきます。