焼却処分される柿の木をスプーン・トレーに
- Client
- 株式会社リバークレス
- Overview
- 岐阜県は柿の産地として知られており、多くの柿農家さんがいらっしゃいます。柿畑は定期的に剪定され、時には品種入れ替えなどで伐採されていますが、そのほとんどが畑内で焼却処分されるか処理業者によって処理されています。今回のプロジェクトは、「ハリヨの柿酢」を生産している株式会社リバークレスさんからの依頼で、同社が管理する柿畑で伐採された柿の木を使ってスプーンとトレーを制作しました。
- Works
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- 企画立案
- 調 査
- 製 材
- 木材乾燥
- デザイン・設計
- 3Dモデリング
- 試 作
- 製作ディレクション
- 加工・製造
- 施工・設置
- Detail
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[プロジェクト期間]
2022年1月 ~ 2023年1月
[使用地域材]
岐阜県海津市産 柿の木
[塗装]
スプーン:ガラス塗料
トレー:オイル塗料
ランプシェード:無塗装
About This Consulting
依頼事項・経緯
株式会社リバークレス様は、柿を発酵させてつくる酢「ハリヨの柿酢」を生産・販売されています。市場に出せない柿でも、加工することで価値を生んだ商品です。
代表の伊藤さんは、サーキュラーエコノミーをベースに事業設計されていたこともあり、大量に使用する実以外にも、毎年、伐採され処分される「木」も有効活用できるのではないか、と考えてらっしゃいました。
課題
柿の木といっても農業の一環で管理されてきた木材です。そのため枝の剪定によって水がしみこみ、腐れが広がった部位などもおおく、均質な木材を求めるのが困難な素材です。均質な部位が極端に少なく、一本一本または一枚一枚に対して材料をよく観察しながら加工しなければいけないため、非常に手間がかかります。
また、最終的なアウトプットもない中でプロジェクトをスタートしており、材料の特性を見ながらできるものを作ってみる、という進め方をしました。
デザイン・設計
柿酢を使用するのは「食」の分野のため、食に絡めたプロダクトが相性が良いのでは、というところから最終的にスプーンとトレーを制作しました。
これは、リバークレス様が別のプロジェクトで柿酢を使ったカレーライスを商品化しているという話から、親和性のあるものを作ろうという話から発展しました。
スプーンは、ち密で靭性の高い木質である柿の木を活かす滑らかな曲線で構成されるデザインにしました。匙部の厚みや持ち手や首などの太さ、細さなども木材の強度を踏まえて決めていきました。
一方でトレーは、柿の木の樹皮の雰囲気や杢の出方もあり、シンプルな板でもとても楽しめる表情をしています。そのたえ、リバークレス様からもシンプルな板状のトレーを制作してほしいという要望をいただきました。
製作
スプーン制作は、モノが小さい割に工数が多く、また曲面が多いため量産が難しいアイテムです。ツバキラボでは、極力工程の機械化を進め、3Dモデリングを行い、CNC加工機で加工を行うことにしました。
CNCでの加工とはいえ、仕上げは人の手で行わなければいけません。一本一本の強度を手で確かめながら磨いていき、最終的な形に仕上げていきました。
トレーの制作は、シンプルな板といえで、人の手で触れるものですので、しっかり磨きこみ、その滑らかさを感じ取れるように仕上げました。
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